AGE WELL

スローなエイジングのために

趣味と食欲の関係

あなたは趣味を持っているだろうか。

出来れば1ヶ月に一回とかの趣味ではなく、頻繁に、例えば、少なくとも週に一、二回はそのことに没頭するような趣味です。

 

私の母は、若い時から趣味は特になく、お友達と美味しいものを食べたり、おしゃべりしたりすることが好きでした。でも別に趣味がないからと言って、母は寂しいとか、満ち足りていない、とか感じたことはなかったようです。ちなみに私の主人も無趣味ですが「趣味とかなくても、別に不服とかないし、普通に楽しいよ」と言っています。確かにそうかもしれません。少なくとも今は・・・

 

私の母は、食べることが大好き。本人も「私は食いしん坊」と、嬉しそうに話しています。85歳になった今も、食べることが大好きです。また、胃腸が丈夫なのでしょう、かなりの量を平気で平らげてしまいます。

食べることが大好きな母なので、私は「美味しいものを食べるのが、何よりも嬉しいんだろうな」と、母のテーブルに、彼女が好きな食べ物、鮪のお寿司、焼きそば、フルーツ、おにぎり、煮物、アンパン、そのほか諸々・・・を、毎日のように多めに置いておいてあげていました。

ところが、その母が、最近食事の量をコントロールすることが難しくなってきたようなのです。認知症の人はそのようなことがよくあると聞きます。以前は、多くて食べきれない食べ物は残して、後で食べたりしていたのに、最近の母は置いてあれば全て食べてしまうのです。食欲がとても旺盛になってしまったのでしょうか。私の顔を見れば「お腹が空いて空いて仕方ないの。何か食べ物はある?」と涙目で訴えるのです。

そう言われると私もついつい「お腹が空くんだろうなぁ。それくらいしか楽しみがないんだから、せめて食べ物くらいたくさん置いてあげよう」と、多めに置いてきてしまいます。

それが良くなかったようで、先日、母は私が置いて置いた食べ物、明らかに一回では食べきれない量を一度に全て食べてしまい、ものすごい量の下痢になりました。母のいるリビングはひどいことになり、主人と私で半日がかりで床から椅子から、あらゆる場所を全て掃除する羽目になりました。

 以来、私も自分のやり方を反省し、一回に食べる分だけを、食事の時間になったら母に持って行き、余計な食べ物はテーブルにのせておかないようにしました。

すると、お腹が空くのか、食事と食事の間に、何度も私を呼んで「お腹が空いた」と訴えるのです。でも、食べ過ぎは内臓を疲労させますし、基本は腹八分目にしておくのが良いと思うので、母の訴えには応じず、適量の食事をあげています。

先日、午後の3時ごろ(一番お腹がすく時間ですね)、そうっと母の様子を見に行ったら、リビングの椅子にいつものように座ってうなだれていました。何もせずに。。。もちろんテレビもつけていません。

そして、私が少量だけどおやつを差し出すと、目の色が変わって「嬉しい」と食べ物に飛びつきました。そして美味しそうに「食べることだけが楽しみよ」と食べていました。

 

食べることだけが楽しみ・・・ってどうなんだろうか、と考えてしまいました。もしも母に何か大好きな趣味があったなら。。。食べることを忘れてしまうくらいのものがあれば。。。気も紛れたのではないかと思うのです。

 

趣味が老後の人生を救う、ということは以前書きました。でも、趣味が、食欲を制御することに役立つということには触れませんでした。

これは何もお年寄りに限ったことではないと思います。私の主人もいつでも「腹が減っている」のです。三度の飯より好きなことがあれば・・・そんなに食べることに依存し過ぎないと思うのです。

 

こんなことを書いている私も、食べることは大好きです。でも、大好きな趣味、筋トレやピラティス、ジョギング、犬との散歩、山登り、に夢中になっているときは、お腹は空かない・・・と言うより、気になりません。重たいバーベルを必死で挙げながら食べ物のことなどは考えません。そんな余裕はないです。

 

故・日野原重明先生は「お腹が空く人は、暇なんだ」と仰っていました。確かにそうだと思います。何かに没頭していれば、夢中になっていれば、食べたいなんて思わないのです。少なくとも必要以上には。

 

趣味はないけど、仕事に没頭している・・・という人もいるでしょう。ただ、仕事はストレスを伴いますので、仕事をしない時間にストレスの反動で過剰に食べてしまうことがよくあります。実際、仕事が忙しい人は、肥満気味のことが多いようです。ストレスが多くて食事で解消するからでしょう。また、趣味を楽しむ時間もないので、余計ストレスが溜まり、食欲も旺盛になります。

趣味は、基本的にはストレスを軽減させてくれるものですから、反動で食べすぎるということは、仕事に比べるとあまりないでしょう。

 

若いうちはまだ身体の自由もきくし、脳もキレが良いでしょうから、趣味がなくても、なんの不自由さも不足も感じないと思います。歳をとったときに、趣味のある人とない人では、大きな違いが現れるのかもしれません。

 

歳をとったときに、食べ物だけに依存しない生き方をするためにも、自分が夢中になれるものを見つけられるとよいですね。たとえ下手でも、夢中になれればよいのです。三日坊主でも、三日間夢中になって、その次にまた夢中になれるものを見つければよいのですから。

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一回の食事量はこれで十分なのかも。。。